11月10日

御殿場市民会館の大ホールをお借りして、芸術鑑賞会が行われました。今年は紙工劇落語です。

以前日本テレビ「笑点」でおなじみだった桂歌丸師匠のお弟子さん、桂枝太郎さんです。高校生にもわかりやすく落語のいろはを解説してくださいました。

今回は第一部、第二部と全面的にご活躍の林家二楽さんが紙切りの世界を披露。紙を切りながらも話術が途切れない「紙技」に気づきましたか。

舞台の上で切った紙を見せる技術として登場するのがなんと、懐かしのOHP(Overhead Projector)です。これで十分です。何がデジタルかと言わんばかりです。

出来上がった作品を惜しげも無く観客にあげてしまうのも紙切りらしい風景です。

春風亭柳橋さんが古典落語「転失気(てんしき)」をかけてくださいました。医者が「転失気はありますか」(おならは出ますか)と聞くのに対して、転失気という言葉を初めて聞くお寺の和尚は知ったかぶりをして、いいえ、近頃はとんとどうも、などとやります。終いには転失気がいつの間にかお酒の盃ということになってしまい、もう一度医者がやってきたとき「いい呑酒器(てんしき)が入りましたよ」と言って医者に酒をすすめる始末。転失気とはおならのことだと諭されても負けず嫌いの和尚はいうのです。「盃を重ねますと、終いにはぶうぶうが出ます。」

すなわち、おならの擬音である「ブーブー」と、酒ばかり飲む亭主に対する女房の苦情(ぶうぶう)をかけた「下げ」(いわゆるオチ)が決まるわけですが、この日の柳橋師匠は一味違いました。江戸時代の言葉「ぶうぶう」の意味がおそらくわからない現代の高校生向けに別の下げを持って来られました。

「はい、どちらもつまみが必要です。」見事です。匂いを放つおならに対する防御と、お酒にはつまみが付きものということで。脱帽。

中入り後、第二部が始まりました。こちらが今回の芸術鑑賞会の目玉とも言うべき「紙工劇落語」です。第一部に出られた二楽さんの紙切りと、桂小南さんの落語のコラボレーションとなります。

桂小南治改め、今年の9月に三代目桂小南を襲名されたばかりの師匠は元々お父様が紙切りの方だったため、こういう形になるわけです。かけたのは古典「死神」ですが、紙切りとのコラボなので、ラストが少しアレンジされていました。「困った時の神(紙)頼み」だったでしょうか?

高校生の皆さんには落語を単なる古典と切り捨てず、自ら東京の寄席などに足を運んで欲しいと思います。いかに古きを温め、新しきを知るかを体験できるはずです。今回がそのきっかけになればと願うばかりです。